エクイティ、EVってなに?

エクイティ、EVってなに?

ポーカーを勉強していると、「エクイティ」とか「EV」という言葉をよく見かけます。どんな意味なのか説明します。

時間が無い人、ざっくりでいい人向け

エクイティは、勝率。(エクイティ60%なら、勝率は約60%)

EVは、アクションの期待値。(〇ドルベットしたら、〇ドル増える/失う)

エクイティとEVは違うものなので注意! 以上!

はじめにご注意

ポーカーの言葉、特に日本語訳はきちんと定義されていないので、本やサイト等によっては同じ用語でも違う意味で書かれている場合もあります。何が正解とも言えない状況ですが、このページでは多くの人が捉えていると思われる意味で説明しています。もしかしたら将来は意味が変わっちゃうかも!?

エクイティ(Equity)とは

価値とか公平さという意味なのですが、ポーカーで単にエクイティというと、ポットエクイティのことを指す場合が多いです。

ポットエクイティとは、平均してもらえるポットの割合です。
勝率+引き分け率の等分です。

単位はパーセント(%)です。

AKs vs KQsの勝率はこのようになります。

事象割合
AKsの勝ち70.8%
KQsの勝ち 28.0%
引き分け 1.2%
100%

引き分けになったときはAKsとKQsでチップを半分こにします。

この勝負を無限回やったときに平均してもらえる金額、ポットの割合はこのようになります。

ハンド平均獲得額エクイティ
AKs 71.4ドル71.4%
KQs 28.6ドル28.6%
100ドル100%

エクイティを求めるには、ちょっとだけ計算をします。
AKsのポット獲得期待値=0.708×100ドル+0.012×50ドル=71.4ドル
KQsのポット獲得期待値=0.280×100ドル+0.012×50ドル=28.6ドル

AKsのエクイティ=(71.4ドル)/(100ドル)=0.714=71.4%
KQsのエクイティ=(28.6ドル)/(100ドル)=0.286=28.6%

エクイティはアプリで分かる

エクイティはスマホアプリやパソコンのアプリで分かります。

スマホアプリなら、「Preflop+」や「Odds Calculator Poker」や 「Odds Calculator for Poker」 などがあります。

windowsなら、フリーソフトの「PokerStrategy.com エクイラボ」があります。ダウンロードするにはpokerstrategyというサイトに登録する必要がありますが…

https://ja.pokerstrategy.com/poker-software-tools/equilab-holdem/

ハンド vs ハンドだけでなく、レンジの全ハンドのエクイティを求めることによって、レンジのエクイティも分かります。

(実際にプレイするときは、相手のハンドは分からないのでハンド vs レンジと、レンジ vs レンジ で考えます)

EV(Expected Value)とは

イーブイと読みます。単位はポーカーの通貨単位です。ドルとかbbです。

何かアクションしたときに、自分のスタックがどれくらい増えるか減るかの期待値です。

EVは、相手がこうするだろうという仮定、またはオールインなどで相手のアクションが起こらないときに求められます。

相手のアクションが分からない場合EVは求められない

相手が何をするか分からない場合、相手のアクションでEVが変わるため、EVは求められません。

なぜ相手のアクションでEVが変わるのでしょうか?

例1、例2は同じシチュエーションとします。

リバーでポットは100ドル。
あなたのハンドは絶対負けているハンド。

例1)

ベットされたら必ずフォールドすると心に決めている相手がいるとします。
あなたは100ドルのブラフベット。
相手はフォールド。
あなたはポット100ドルを獲得。
EVはポット額(+100ドル)です。
同じことを何度やっても毎回100ドル獲得できます。

例2)

ベットされたら必ずオールインすると心に決めている相手がいるとします。
あなたは100ドルのブラフベット。
相手からオールインを返されてあなたはフォールド。
あなたはブラフベット分100ドルを失いました。
EVはマイナスブラフベット額(-100ドル)です。
同じことを何度やっても毎回100ドル失います。

例1、例2のように同じアクションでも、相手のアクション次第でEVは異なります。

相手のアクションが仮定できる場合のEVの求めかた

例1、2と同じシチュエーションとします。
リバーでポットは100ドル。
あなたのハンドは絶対負けているハンド。

例3)

相手は20%の確率でフォールドし、80%の確率でオールインする傾向があると分かっているとします。
あなたは100ドルのブラフベット。

ここで相手のアクションが20%のフォールドと、80%のオールインに分岐します。

<20%>

相手はフォールド。
あなたはポット100ドルを獲得。
ここだけのEVは0.2×100ドル=+20ドルです。

<80%>

相手からオールインを返されてあなたはフォールド。
あなたはブラフベット分100ドルを失いました。
ここだけのEVは0.8×(-100)=-80ドル です。

<20%>+<80%>

最後に起こりうる事象をすべて足し算します。

+20ドル -80ドル =-60ドル

つまり、このような傾向の相手に対して100ドルのブラフベットをすると、1回あたり60ドルを失う期待値であるということが分かりました。

今回の100ドルベットの期待値は
「EV=-60ドル」です。

エクイティがEVに直結するパターン

エクイティとEVは関係性はあるものの、まったく異なる指標です。

しかし、お互いオールインになることが確定しているときは、エクイティがEVと密接な関係になります。

どちらかがショートでオールインでヘッズアップになり、ポットが100ドルだったとします。

自分のエクイティが40%
相手のエクイティが60%

自分のオールインのEV=0.4×100ドル=40ドル
相手のオールインのEV=0.6×100ドル=60ドル

というように、エクイティがそのままEVに反映されます。

そのほか似たような言葉

特に覚えなくていいです(‘◇’)ゞ
というか、これらの言葉のエクイティと、最初に書いたポットエクイティは意味が違うので紛らわしいです。。

フォールドエクイティ(Fold Equity:FE)

ベットによる相手のフォールド頻度と収支を計算するEV(期待値)としての意味と、相手のフォールドの補正をしたエクイティとしての意味があるのですが、ここでは後者を説明します。

公的なものではないのですが、wikipediaは後者です。
https://en.wikipedia.org/wiki/Fold_equity

説明です。

ベットしたら相手がフォールドする可能性がありますよね。
フォールドしたら相手の勝率がゼロになるので、相手のエクイティを奪ったことになります。それを式にできます。

ベットしたときのフォールドエクイティ=相手のフォールド率×相手のエクイティ

自分のエクイティが30%
相手のエクイティが70%
自分がベットしたときの相手のフォールド率を50%とします。

FE=0.5×0.7=0.35=35%

ベットする場合の自分のエクイティ=自分のエクイティ+フォールドエクイティ
=0.3+0.35=0.65=65%

つまり、この条件であればベットすれば65%のエクイティ(≒65%の勝率)が得られます。

この式は金額が使われていないことに注意してください。期待値ではなくポットを獲得できる可能性の変化だけしか考えられていません。

簡単にいうと、なんでもベットしまくればフォールドエクイティが生まれるからポットを獲得できる回数は増えるけど、コールされたら負けることが多いので、フォールドさせまくれば収支がプラス(期待値がプラス)になるとは限らないということです。

エクイティリアライゼーション(Equity Realization)

実際に獲得できそうなエクイティのことです。

エクイティリアライゼーション =リアライズ率×エクイティ

ざっくりいうと、本来の勝率に対して、実際の勝率を補正したものです。
リアライズ率は、エクイティとGTOソルバーの出力結果の差を集計して求めるのがよさそうです。

リアライズ率は次のようなものに影響します。

  1. ポジション(良い場所は高い)
  2. ハンドのプレイのしやすさ(コネクト、スーテッドは高い)
  3. SPR(スタックが多いと高い)
  4. レンジの広さ(広い方が高い)
  5. スキル差(強い方が高い)

72oだって22だってどんなハンドもエクイティはあります。

実際プレイすると分かると思うのですが、76sのスーテッドコネクタはエクイティ以上にドローによるセミブラフでチップを獲得できますし、72oや42oのような弱いハンドはエクイティよりチップを獲得できないです。例えば、AKs vs 72o では、72oが30%のエクイティがあるのですが、実際にやると72oは厳しいですよね。。

エクイティリアライゼーションは状況によっても変わります。トーナメントでショートになったら22で突っ込むこともあるでしょう。その場合はエクイティリアライゼーションは実際のエクイティより高い、オーバーリアライズの状態です。

逆にトナメのバブルのときに、そこそこのハンドをプレイしないか相手に打たれまくったらやめる人もいるでしょう。その場合はエクイティリアライゼーションは実際のエクイティより低い、アンダーリアライズの状態です。

時々いるベットしまくり気合太郎さんは、相手が必要以上に降りている状況では、相手のエクイティを奪いまくるオーバーリアライズの状態なのです。